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【ファイアパンチ】あらすじまとめ│ネタバレ有り(作)藤本タツキ

漫画

序章 覆われた男

文明崩壊後の地球、生まれながらに奇跡を使える人間・祝福者が存在する世界。地球は「氷の魔女」の力によって氷河期を迎え、雪と飢餓と狂気に覆われていた。
少年アグニと妹のルナは肉体の再生能力に優れた祝福者で、アグニは自らの肉を切り落としては、村の人々に食料として分け与えながら暮らしていた。だがある日、ベヘムドルグ王国のドマ率いる軍隊が村に押し入り、人肉食を見咎めたドマによって焼け朽ちるまで消えない炎の祝福が村に放たれる。アグニの体も炎に包まれたが、再生の祝福のために死ぬことができない。燃焼と再生を無限に繰り返す苦しみの中、アグニは焼け死ぬ間際のルナに「生きて」と言われ、生にしがみつくことを決める。村とルナを奪ったドマへの憎しみを抱きつつ、焼かれる苦しみに耐えるうち8年が経ち、やがて顔の炎の除去に成功したアグニはドマへの復讐を決意する。

ベヘムドルグを目指すアグニは、その道中で奴隷の少年サンをベヘムドルグ軍から救出する。サンはアグニのことを神様と思い込んでつきまとい、行動をともにするが、そこにベヘムドルグの高官ユダが現れる。ルナと瓜二つの容姿を持つユダに動揺したアグニはあっけなく彼女に敗北し、アグニとサンはベヘムドルグへと連れ去られる。
ベヘムドルグでの協議の結果、アグニは首だけの状態で海に投棄されることとなり、サンはベヘムドルグの生活を支える奴隷として搾取されることが決定する。サンはそこで同じく捕らえられた少女ネネトや、奴隷となった他の祝福者たちと出会い、彼らにアグニという神様の存在を説く。

一方、地下鉄道で海へと輸送されていたアグニは、ビデオカメラを回しながら現れた謎の女性トガタによって救出される。再生祝福者で大の映画好きでもあるトガタは、偶然見かけたアグニの燃える姿に興味を持ち、アグニを主人公にして「ファイアマン」という映画を撮ろうと考えていた。トガタは同じく救出したネネトをカメラマンに指名し、アグニを撮らせてもらうことを交換条件に、ドマへの敵討ちに協力を申し出る。

復讐の準備をととのえたアグニはベヘムドルグへ向かうが、途中でベヘムドルグの奴隷の檻を見て「目の前の死が許せない、悪が許せない」という自身の正義を思い出す。この時アグニは生きるために復讐者を演じていたことに気づき(アグニは妹の幸せが「生きる糧」であったが、妹を失ってからは復讐を「糧」としていた。)、ドマへの復讐を二の次にしてサンを含む奴隷たちを救い出す。ベヘムドルグ軍との直接対決の末、消えない炎でベヘムドルグを壊滅に追い込むが、そこへアグニを信望する男バットマンが現れ、難民となった奴隷たちを連れてべヘムドルグから脱出する。
べヘムドルグ崩壊を目の当たりにしたユダは戦意喪失し、アグニの消えない炎に触れて死のうとするが、ユダがルナではないかという望みを捨てきれないアグニはそれを許さない。ユダはアグニに、ドマがベヘムドルグ崩壊に巻きこまれて死んだであろうことを告げると同時に、ベヘムドルグでずっと神の声を聞く者を演じてきた自身の本心を語る。復讐という生きる糧を失ったアグニは、彼女に炎を触ることを許し、自身も死のうとするが、そこに突如氷の魔女を名乗る人物が現れ、ユダの死を阻止する。

頗章 覆う男

諸悪の根源とされる氷の魔女と対峙したアグニは魔女に戦いを挑むが、魔女はアグニを一蹴し、ユダを連れて逃げてしまう。目覚めたユダに魔女はスーリャと名乗るが、彼女もまたルナやユダと同じ顔を持つ者の一人であった。スーリャは、自分たちはかつて高度な文明を誇っていた旧世代の人類の生き残りであること、氷の魔女などは存在せず世界が雪に覆われたのは地球が朽ちかけているのが原因であること、そして旧世代人の能力を濃く受け継いでいるユダの力を使えば地球を暖かくできることなどを語る。
一方、ベヘムドルグを脱出した難民たちは、バットマンらアグニを崇拝して集まって来た者たちを筆頭に、「アグニ教」の村を立ち上げていた。村に辿り着いたアグニは、自身が多くのアグニ信者の生きる糧になっていることをトガタに告げられる。アグニは大量のベヘムドルグ人を殺した罪悪感に苛まれつつも、信者達の「期待」に応えるため神の演技をすることを決意する。

ある日、ベヘムドルグ軍の残党が村を訪れ、ドマの生存が発覚する。アグニは復讐を終わらせるため、トガタはその結末を見届けるため、二人はドマのもとに向かうが、再会したドマはかつての所業を悔いており、今は孤児たちを養うために死ぬわけにはいかないと語る。彼はかつてベヘムドルグで神の映像を観せられ、それを信じて正義を振るっていた。しかしある日部下が持ち帰った戦利品を見て、自分が観ていた映像は娯楽用の映画で、神と思い祈りを捧げていた相手は映画の役者だったことを知ったのだと言う。それを聞いたトガタは、トガタの家を燃やして生きる糧=映画を奪ったのはドマだったと知り、ドマに襲いかかる。暴行を続ける中、子どもたちが現れドマをかばう。ドマを殺せば子どもたちも生きられないと悟ったアグニは、復讐をやめて立ち去る。

帰り道でアグニは、映画の主人公ならドマを殺したかとトガタに問う。トガタは、主人公なら殺さないだろう、子供が死ねば観客は主人公を嫌いになるから、と答える。アグニは人を救うためなら、神でも主人公にでもなると誓う。だがその時、アグニは自身の壮絶な過去を思い出し、「ファイアパンチになってドマを殺して」と言うルナの幻覚を見る。意識が途切れ気が付くと、アグニはドマの家に戻ってドマを殺してしまっていた。ドマの家はアグニの炎で焼け朽ち、それに触れてしまった子どもたちも焼死体へと変わり果てていた。
自暴自棄になったアグニは凍った湖の上に立ち、氷の解けるまま水中へ落ちていく。アグニが我に返ると、トガタが焼けながらもアグニを抱きかかえて湖から助け出していた。トガタは身体が燃える痛みの中で最期の言葉を考え、アグニに「生きて」と告げて息絶える。その言葉によって再び死ねなくなってしまったアグニは、トガタの焼死体を抱えてアグニ教の村へ帰るが、そこに広がっていたのは無残に壊滅した村と、根を伸ばし人々を枯らす巨大な木だった。スーリャが地球を暖めるため、ユダを木に変え、人々からエネルギーを吸い取っていたのだ。

旧章 負う男

アグニは「殺して」と願うユダの木を破壊し、ユダの祝福によって炎が消え普通の身体に戻る。祝福の使い過ぎによって記憶を失い幼児退行したユダを、アグニはルナとして扱い、自分がファイアパンチであることを隠し、生き残ったテナらドマの元教え子たちと共同生活を送ることになる。その後10年間、かりそめの穏やかな生活を享受し、ルナ(ユダ)との絆を深めていくアグニ。しかしユダに恨みを持っていた生き残りのアグニ教徒やネネトが現れてユダは連れ去られ、テナたちは、アグニが自分たちの恩師ドマを殺し家を焼いた「ファイアパンチ」であることを知る。テナの娘イアの祝福の炎で再び全身に炎を纏ったアグニはドマの元教え子たちと決別し、ルナ(ユダ)を救出するためアグニ教の村へ向かう。アグニは多くのアグニ教徒を虐殺し、歪んだアグニ教教祖となっていたサンを焼き殺した。もはや自分が何者かもわからなくなり、「誰かを殺さなければいけない」ことしか思い出せないアグニを、ユダは抱きしめ「生きて」と告げる。ユダは祝福によってアグニの炎を消し、少年の姿へと生まれ変わらせた。記憶を失ったアグニをネネトに託し、ユダは自らの意志で再び木となる。生まれ変わったアグニは、ネネトにサンとして育てらる。

80年後、ユダの木によって暖かくなった世界でサン(アグニ)は再び教祖となり、老いたネネトの死を看取る。未だ若い姿のまま死ぬ方法を探していたサン(アグニ)に、側近の女性が、偶然発見したという旧世代人用の自殺薬とトガタのカメラを手渡す。サン(アグニ)は建設してあった映画館でカメラの中身を上映する。壊れて白黒で音声も出ないその映画の、おそらく主人公であろう燃えている男を見たサン(アグニ)は、拳を握っていた。
悠久の時が過ぎ、木となったユダは他の星々に根を伸ばして地球を暖め続けていた。アグニの顔を忘れ、何のために地球を暖めているのかも忘れ、地球が何なのかも忘れ、やがて地球が消滅してもユダはそこにいた。数千万年後、宇宙空間でサン(アグニ)とルナ(ユダ)は出会い、二人で寄り添うように眠って物語は終わる。

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